大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1359号 判決

つぎに本判決事実らん記載の控訴人主張一について考えるに右認定の和解契約の条項は、第一に債権者たる被控訴人と主債務者たる訴外大和田熊蔵間において、大和田が被控訴人にたいし、澱粉等の買掛残代金五百七十三万六千五百十八円とこれにたいする年六分の損害金債務を負担することを認め、これを分割支払うこと等を定め、第二に被控訴人と控訴人との間において、控訴人が被控訴人にたいし、右第一の債務を担保するため本件建物にたいし、抵当権を設定することを定めたものであつて、右和解条項には、この二者の契約のほかに、控訴人と大和田との間になんらの契約あることも認められないから、控訴人の三面契約があるとの主張は理解しがたい。したがつて、控訴人と大和田と対立関係に立つ法律行為はないのであるから、大和田が行為の相手方としての控訴人を代理するという関係を生じ得ない。控訴人のいうような被控訴人、控訴人および大和田を契約当事者とする三面契約がなされたものということのできないことは明かである、また、控訴人は民法第八二六条を引いて、かれこれいう。なるほど、大和田の債務のために大和田が控訴人の代理人となつて控訴人所有不動産に抵当権を設定する行為は、代理人と本人との利益相反する行為であることは明かであるけれども、これは、民法第八二六条は親権者の法定代理権に関する特別規定であるから、一般の任意代理についてこれを考慮に加えるべきものではない。であるから、大和田代理人による控訴人被控訴人間の行為は無効ではなく、また、取消し得べきものでもない。

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